今回は資産クラス別に購入すべきインデックスファンドを具体的に商品名を挙げて紹介します。
インデックスファンドを選ぶにあたって注目するのは、信託報酬と純資産総額です。
信託報酬というのはファンドを運用する上で投資家が(運用成績にかかわらず)毎年確実に支払うコストです。
従って、信託報酬は少なければ少ないほど良いという事になります。
一方で、純資産総額とはファンドが運用している資金の総量を指します。
純資産総額は運用期間が長ければ長いほど、ファンドの人気が高ければ高いほど大きくなる傾向があります。
純資産総額が大きいと、運用コストが下がったり安定的な運用を行う事が出来たりするようになりますので、こちらについては大きければ大きいほど良いという事になります。
ちなみに、純資産総額が少ないまま伸びないとファンドが募集停止・償還(解散)してしまう可能性もあります。(日本の場合は過去に数多くの償還例があります。)
※厳密にいえば、実質コストとベンチマークからの乖離(騰落率)も確認して欲しいですが、今回挙げる商品から選ぶ場合は基本的に問題ありませんので割愛しています。
※以下の信託報酬は消費税込み。
特に記載が無い場合、純資産総額と信託報酬共に2020年2月21日時点の値を使用しています。
1.国内株式
早速国内株式からいきましょう。
国内株式については、ベンチマークが2種類あるのでそれぞれについて紹介します。
どちらか1つのベンチマークを選んでもいいし、両方に投資するのでも構いませんが、後者の場合は銘柄が重複する事を忘れずに。
個人的にはTOPIX連動の方が純資産総額が大きいファンドが多いので、良さそうに思います。
しかし、東京証券取引所が上場カテゴリーを見直すというニュースが報道されていますので、TOPIXの扱いがどうなるのか少々不安ではあります。
私自身は国内株式ベンチマークのインデックスファンドは購入していません。
(1)TOPIX連動
TOPIXのインデックスファンドの場合は下記の2つです。
・eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)
信託報酬:0.154% 純資産総額:139.6億円
・<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
信託報酬:0.154% 純資産総額:270.05億円
iFree TOPIXインデックスとSmart-i TOPIXインデックスも信託報酬は同率ですが(Smart-iは2月28日に引き下げ予定)、純資産総額が1桁~2桁少ない為、上記の2つの方がベターです。
(実質コストも多少高い。)
なお、TOPIXの場合はTOPIX連動型上場投信[ETF:1306]というETFを購入するのもアリです。
信託報酬は0.121%と更に安いですが、ETFなのでインデックスファンドよりも最低購入価格が高くなるのと、証券会社及びそのプランによっては購入・売却時に手数料が発生します。
(2)日経平均株価連動
日経平均連動は下記の3つです。
・eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
信託報酬:0.154% 純資産総額:32.37億円
・<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
信託報酬:0.154% 純資産総額:83.45億円
・iFree 日経225インデックス
信託報酬:0.154% 純資産総額:75.76億円
どれを選んでも大差ありません。
2.先進国株式
先進国株式は下記の2つのどちらかです。
ここ数年のコスト引き下げ競争の結果、両社とも国内株式よりも安い信託報酬となっています。
・eMAXIS Slim先進国株式インデックス
信託報酬:0.10615% 純資産総額:883.81億円
→2020年3月17日より0.1023%へ引き下げ!(2020年2月25日運用会社ニュースリリースより)
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
信託報酬:0.10230% 純資産総額:1701.94億円
どちらを選んでも問題ないと思います。信託報酬はニッセイの方が若干安いですが、100万円を1年間運用して38.5円の差です。
もはや誤差ですね(笑)
私自身はeMAXIS Slim先進国株式インデックスを保有しています。
上記2つはMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとしていますが、FTSEディべロップド・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)をベンチマークとするSBI・先進国株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(先進国株式))というファンドも信託報酬が同等です。
ただ、こちらは純資産総額が20億円に満たない状態の為、ベンチマークがFTSEが良いという方でない限り、上記2つのどちらかをオススメします。
3.新興国株式
新興国株式はベンチマークが違ったり、信託報酬や実質コストの差が大きかったりで好みの出る資産クラスです。
ただ、1つ選ぶのであれば、
・eMAXIS Slim新興国株式インデックス
信託報酬:0.2079% 純資産総額:265.11億円
ですね。
この資産クラスで最低レベルの信託報酬かつ純資産総額が100億円をこえているのはeMAXIS Slim新興国株式インデックスだけです。
次点でSBI・新興国株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(新興国株式))でしょうか。
信託報酬は0.196%とeMAXIS Slimよりも若干安いですが、純資産総額が32.74億円と少々心もとないです。
またベンチマークもFTSE エマージング・インデックス(円換算ベース)と異なる(eMAXIS SlimはMSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース))ため、人によっては気になるかもしれません。
またニッセイにも<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンドという新興国の資産クラスは存在しますが、純資産総額が15億円程度と少ないのと、実質コストが高く運用が上手くいってないように見受けられる為、eMAXIS Slimと比較しニッセイを選ぶ理由はあまりありません。
4.全世界株式
最近になって設定されたファンドが多く運用期間が短い商品がほとんどですが、ベンチマークやコンセプトが異なる商品が多いので絞るのが難しい資産クラスですね。
(1)日本を除く全世界株式
・eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
信託報酬:0.1144% 純資産総額:149.43億円
日本を除く全世界株式はeMAXIS Slim1択です。
野村つみたて外国株投信も純資産総額は同等、信託報酬も十分安い部類ですが、より信託報酬の安いeMAXIS Slimの方がベターでしょう。
(2)日本を含む全世界株式
日本を含む場合はベンチマークの違いもあって難しいです。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)の場合は
・ eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
信託報酬:0.1144% 純資産総額:180.78億円
の1択でしょう。
一方、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)の場合は
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
信託報酬:0.1102% 純資産総額:58.31億円
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド【愛称】楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)
信託報酬:0.222% 純資産総額:373.83億円
のどちらかです。
信託報酬の安さを取るなら前者、純資産総額の大きさを取るなら後者です。
次回に続きます。