信託報酬の値下げ競争が勃発しているインデックスファンド業界にダークホースが登場しました。
それが「野村スリーゼロ先進国株式投信」です。
この野村アセットマネジメントが新しく設定するインデックスファンドは、まさかの信託報酬がタダ!
確かに衝撃的ではありますが、どう考えても商品として成り立たないのでは・・・
それともタダより高いものは無い、的な落とし穴があるのか・・・気になりますね。
1.信託報酬が無料なのは期間限定
(1)信託報酬
2020年3月16日から2030年12月31日までの信託報酬は0%
2031年1月1日以降の信託報酬は0.11%(税抜き0.1%)
と、無料期間は10年弱の期間限定だそうです。
そりゃそうですよね(笑)
無料期間が終了しても同一資産クラスのインデックスファンドと比較し最安値では無いものの、格安の部類です。
なお、購入手数料と信託財産留保額は期間の限定なく0円とのこと。
ただし、これらのコストが0円だったとしても、実際には有価証券の売買手数料や監査費用等々のコストは必ず発生する為、実質コストは0円にはなりません。
(2)販売会社
野村證券のオンラインサービスからのお申込み限定
引用元:野村スリーゼロ先進国株式投信(ご参考資料)
URL:https://www.nomura.co.jp/retail/nisa/tsumitate/pdf/threezero.pdf
とのことなので、野村證券のオンラインサービス限定でしょう。
他社のネット証券等では取り扱わないものと思われます。
(3)資産クラスとベンチマーク
資産クラス:先進国株式(日本除く)
ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI(円換算ベース、為替ヘッジ無し)
この辺はお馴染みですね。
ベンチマークが配当込みなのか配当除くなのかは確認できませんでした。
(4)購入単位
主としてつみたて投資(定期的に継続して投資する事をいいます。)によって購入される資金の運用を行うためのファンドです。
引用元:野村スリーゼロ先進国株式投信(ご参考資料)
URL:https://www.nomura.co.jp/retail/nisa/tsumitate/pdf/threezero.pdf
との事なので恐らく小口買付けができると思われますが、購入単位は”販売会社の定める単位”との記載のみで実数を確認できませんでした。
ネット証券であれば1口未満でも購入できる場合が多いので、積立てしやすいのですが・・・
販売会社が野村證券のみという事で若干不安が残ります。
「1口以上1口単位」になってしまうと、定額での積立てには不向きと言わざるを得ませんが今回は確認できませんでした。
2.信託報酬無料の意味
(1)企業戦略としてはアリ
投資家サイドから見た場合、インデックスファンドのコストは安ければ安いほどありがたいのは間違いありません。
しかし、運用会社側から見れば間違いなく赤字でしょう。
つまり、ファンド単体で採算が取れない以上、別の手段で赤字を補填する事になるハズです。
すなわち、野村證券としては投資家にとって魅力的な本ファンドを購入してもらい、別の利益率の高い商品やサービスの販売に繋げたい、という戦略と思われます。
(サイト管理者の勝手な想像です!間違ってたらゴメンナサイ。)
企業戦略としてはアリでしょう。
Yahoo!BBがタダでモデムを配ったり(通信料金で回収)、ソシャゲがタダでダウンロードできたり(ガチャやアイテム課金で回収)といった似たようなビジネス戦略は枚挙にいとまがありません。
(2)商品単体としては不健全かも・・・
とは言え、野村スリーゼロ先進国株式投信という商品自体に”不健全”な印象を受けるのもまた事実です。
インデックスファンドは長期投資という投資スタンスが前提になりますので、コストだけでなくファンドが償還されずに存続する継続性も重要です。
赤字を垂れ流し続けるファンドが長く存続するでしょうか。
仮に上記の企業戦略が本当だとして、数年たって効果が見込めない場合は償還という憂き目を見かねない、と思われても仕方ないですよね。
3.様子見が吉
(1)ある程度純資産総額が積み上がってからでも遅くない
新規設定されたインデックスファンドというものは、どうしても純資産額がある程度積み上がるまで運用が安定しない傾向があります。
同時に運用初期は隠れコスト(前述の有価証券の売買手数料や監査手数料等の事前に見えないコスト)が高振れするケースが多いです。
従ってこの2点がハッキリするまで慌てて購入する必要は無いように思います。
(2)超低コストファンドを保有している場合はそれらを売却してまで乗り換える必要はない
様子を見た結果、運用状況が良好と判明した場合でも既に保有している同一資産クラスのファンドを売却してまで乗り換える必要は無いと思います。
もしやるのであれば、購入済みのファンドはそのまま保有し続け、信託報酬が無料の期間のみスリーゼロファンドを積立てる、ですかね。
もっとも、その為だけにわざわざ野村證券の口座を開設してまで実行するかは・・・人によると思いますが。
(3)既存の格安インデックスファンドとの信託報酬の差はわずか
既存の同一資産クラスの最も信託報酬の安いインデックスファンドとの信託報酬の差は約0.1%に過ぎません。
運用額が100万円場合は年間1000円、500万円だと5000円、1000万円だと1万円です。
10年間の合計額はそれぞれ、1万円、5万円、10万円です。
運用当初は実質コストが高ぶれするので、そこまでの差が出ないどころか逆転する可能性も否定できません。
こればっかりは運用してみないと何とも言えない。
それを踏まえたうえで、この差をどう感じるかは人それぞれですね。
(4)私自身は投資は見送り
私自身はわざわざ野村證券に口座を開いてまで購入することは無いと思います。
逆に既に野村證券に口座をお持ちの方や、IPOを狙われるような方は検討されても良いかもしれません。
まとめ
信託報酬が期間限定とは言え無料というのはやはりインパクト大です。
自身が投資するかどうかはともかく、画期的な商品であることは間違いありません。
願わくば長期間安定した運用が行われて欲しいですね。
ではまた。